改正教育基本法成立に抗議します

安倍晋三総理大臣殿

2007年1月9日
日本長老教会 ヤスクニと平和委員会
委員長 村瀬俊夫

日夜、国政の任に意を尽くされておられることに敬意を表します。2006年12月15日に改正教育基本法が成立しま した。衆院の特別委員会、本会議での決議は野党欠席のままでなされ、翌日議案が参院に送られ、野党欠席のまま特別委員会が作られました。何故野党が欠席す るに至ったかを全く顧慮することなく、公約したことであるからというだけの理由で、国民教育というまさに国家の命運がかかる法律を、数の論理で押し通した ことに、大きな憂いをもっております。「教育は国家百年の大計」という金言がないがしろにされ、国民不在、世論無視で行われたことは、戦前の軍部独走を想 記させられました。

私たちは、「改正教育基本法」の内容に関して以下の理由によって反対をいたします。

1.教育基本法は、戦前の国民教育が、旧教育勅語(戦後国会において無効宣言された)を基本理念とした天皇制国家による強制・画一教育であったこと の反省に立ったものでありました。国家によって舵取られた国民が、戦争に駆り出され、アジア諸国に暴威を振るったことは隠れもない歴史的事実です。私たち は国家権力による国家主義教育は誤りであることを確認します。改正教育基本法は、明白に国家主義教育に向け舵を切り替えたものです。

2.「改正教育基本法」の提出理由に、教育基本法が時代遅れのものになったとし、また日本の独自性を謳った文言が盛られてないのでそれを明文化する としております。私たちは、普遍的価値を身につけた国民教育を目指している教育基本法の理念がすぐれているものと確信しております。島国的特殊価値を盛り 込んだ改正教育基本法は、まさに国際化の時代に逆行する教育行政によるものと判断いたします。

3.教育基本法には「教育は不当な支配に服することなく」という文言があります。「不当な支配」とは国家による不当な支配、軍部によって支配された 政府による不当な支配という歴史の教訓から生まれ、このような不当な支配を拒否することの表明です。「改正教育基本法」は「不当な支配に服することなく、 この法律及び他の法律の定めにより行われるべきもの」とあります。これは、戦前の歴史教育の実態と照らしあわせると、「法律の支配に服することなく、法律 の支配に服して教育をする」という矛盾した文言が実質的に盛られている大変おかしなことになっております。 真意は「教職員組合の支配下ではなく、法律 (国家)の支配に置かれる」というものであるようですが、教育は何かの支配下に置かれる、それも時の政府の支配下おかれることから中立でなければならない のではないでしょうか。

安倍首相は、タウンミーティングのやらせの責任をとって、報酬の100万円を返上すると新聞が報じています。民主主義の崩壊を100万円で買い戻すことは出来ません。不始末を金銭で解決することは「美しい」ことではありません。

一市民が「祖父が、父がやりとげられなかった事業 を実現した」ということは「美談」として通用するかも知れません。首相がそれをするとなると、その事業内容そのものが、真剣に問われなければならないで しょう。頑固親父は近所迷惑であり、場合によっては茶飲み話の題材として笑い飛ばされる類の存在でしょうが、頑固な支配者は独裁者に通じます。祖父の遺志 より国民の意思を優先して下さい。「民の声は、天の声」という政治の原点に立ち返って下さい。