首相の靖国神社参拝予告に抗議する

内閣総理大臣小泉純一郎殿

2001年7月20日
日本長老教会「ヤスクニと平和」委員会

きたる8月15日に、小泉首相が靖国神社に参拝することに反対し、その中止を強く求めます。

小泉首相が数々の改革に着手していること、大きな 壁をうち破って改革を推進する力を持つと期待されていることは、国民の高い支持率から見て明らかでありましょう。しかし、その打ち破られるべき壁の一つと して、8月15日の靖国神社参拝があると見ているならば、それは重大な政治的誤りであることを、はっきり指摘いたします。

1.明確な憲法違反行為であること
憲法第20条は、戦前の国家神道体制ならびに政教一致体制の否定をはっきり表明したものです。憲法第20条第1項から第3項までの条文が他国に類を見ない ほど詳細な政教分離原則を明記しているのは、戦前の国家神道体制への復帰を否定するためにほかなりません。首相は、国家、国民が憲法体制から逸脱しないた めの舵取り役をすべきであって、いかなる政策も憲法体制に沿った中での選択を行うべきであります。

2.「A級戦犯者は殉難者」との論を採用していること
神社本庁ならびに靖国神社は、A級戦犯とは戦勝国が勝手に付けた名称で、それ自体国際法に違反しているとのキャンペーンをくり返しています。戦犯と呼ぶの でなく殉難者と呼ぶべきだとの論です。しかし、その論を政府が採用するとなると重大な問題となります。首相の靖国神社参拝は、かつての戦争は大東亜解放の 戦争であって、その勲功をたたえることになるからです。そのことは、必ずや韓国、中国をはじめ、かつての戦争で被害を受けた他のアジア諸国の強い反撥を招 くことになるでしょう。

3.戦没者遺族対策が安易に過ぎること
戦後、戦没者の処遇を国家として明確に打ち出すことができずに今まで来てしまいました。戦没者遺族の世代は、自分の夫、親、兄が国家戦略の手先になって無 惨に殺されたと恨めしく思う一方で、聖戦のために命を捧げたものと国家に認めてもらいたいと願う心とが分裂したままで時が過ぎ、今やこの世を去ろうとして います。
遺族の中の多数は今も、肉親の魂は靖国神社に祀られていると信じています。しかし、遺族の中には、少数派ではあっても、天皇・首相の靖国神社参拝参拝に反 対する者たちがいます。合祀を取り下げてくれるように強く望んでいる遺族さえいます。真の民主主義社会は、少数者の権利を多数決の決定から守ることを常に 心がける社会であるべきです。