小泉首相の靖国神社参拝に抗議し、談話の「有言実行」に期待する

2001年8月30日
日本長老教会「ヤスクニと平和」委員会
委員長 遠藤潔

国政の最高責任者として、日夜奮闘しておられることに感謝いたします。

さて、8月13日に貴殿は靖国神社に昇殿参拝されました。私ども委員会は、かねてから次の三点をあげて、その参拝に反対の意を表してきました。すなわち、

1.明確な憲法違反行為であること。
2.靖国神社はA級戦犯を「昭和殉難者」として祀っていること。
3.戦没者遺族対策が安易過ぎること。

それにもかかわらず、貴殿が参拝を強行されたことに、改めて抗議します。

参拝に当たっての官房長官を通しての談話、参拝後の記者会見での談話などが発表されました。国内外からする多くの反対を押し切っての参拝であるからには、その説明責任が当然果たされるべきであり、それをされたのが二つの談話であると受け取っております。

私たちは、参拝そのものに反対ですから、参拝日時の変更では私たちの抗議に応えたことにはなりません。

違憲の疑いに対しては1985年の政府見解(中曽根内閣)に沿って弁明しておりますが、この見解発表以後における仙台高裁・最高裁の違憲判断を敢えて無視しており、現在国民の間に浸透している政教分離原則に沿った行動であると納得することはできません。

歴史認識が問われる部分に関しては、1995年の村山談話の引用を思わせる侵略戦争を認める発言で批判をかわしてお ります。しかし、村山談話は侵略戦争の謝罪が目的のものでしたが、今回の談話には謝罪の言葉がありません。確かに、参拝の理由付けに、謝罪目的の談話の一 部を恣意的に取り上げたのでしょうが、それだけに非常な違和感を覚えます。いずれにしても、これまでの政府の見解を踏襲しながら反論を封殺しようとするも のです。

首相が侵略戦争を認めるなら、その戦争の責任者であるA級戦犯が合祀されている事実を無視することはできず、その点からも----中国・韓国をはじめとするアジア近隣諸国との友好を大切にするのであれば---今回の参拝が厳しく批判されるのは当然であります。

さらに、不可解な発言が二,三あり、その真意をはかりかねております。靖国神社は、その性格上、戦没者の護国の念・ 行為を顕彰する社であります。そうであるがゆえの「英霊」なのです。その社の前で「心ならずも戦場に」駆り出された戦没者を悼むというのは、おかしなこと ではありませんか。国粋主義者も、「つくる会」のメンバーも、腰を抜かしたのではないでしょうか。

それから「永久平和を誓う」というのは言葉のあやで、戦前も東洋平和のために戦争したことを考え合わせると、「戦勝 祈願」に通じる平和祈願をしたと受け取るべきなのでしょうか。また「不戦を誓った」そうですが、これは重大な発言であり、神とされた「英霊」に誓うとは、 天地神明に誓ったということになるでしょう。今や世界でも有数の軍備を誇る自衛隊の頂点に立つ首相の誓いを、もし「有言実行」に移すとすれば、それこそ自 衛隊の解体を意味することに通じるのでしょうか。

8月6日の広島、9日の長崎でも、首相は「核兵器廃絶」を公言されました。13日の「不戦の誓い」などを考え合わせますと、改憲を狙う政府ではなく、平和憲法を護持する政府へと舵を切り替えたものと理解してよいのでしょうか。

日本改革の先頭に立っておられる首相の意気込みなら、それもやれそうです。憲法違反の「有言実行」には強く反対しますが、憲法に沿った「有言実行」には心から期待しております。



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