首相の1月4日伊勢神宮参拝に抗議します

内閣総理大臣鳩山由紀夫殿

2010年1月7日
日本長老教会社会委員会委員長 星出卓也

昨年8月の衆議院選挙で民主党が圧勝し、政権交代がなされたことについて私どもは大いなる期待を寄せておりました。その期待の中心は日本国憲法第99条に義務付けられているとおりに新政権によって日本国憲法を尊重・擁護した政治が行われることにあります。日本国憲法20条3項は、国及びその機関はいかなる宗教的活動をしてはならないことを定め、また同20条1項は、いかなる宗教団体も国から特権を受ける事を禁止しています。ここに定められた政教分離原則は、戦前戦中の政府が国家神道を擁護することによって、キリスト教や仏教その他諸宗教への弾圧迫害を行い、国内外の人々に神社参拝を強要し信教の自由を侵害した、という苦汁の歴史から学び取った尊い財産であります。内閣総理大臣の役職にある者は同99条によりこの同20条の政教分離原則を尊重擁護する義務があることは充分ご存知のことでしょう。

しかし戦後の政権においても、歴代の首相による年頭の伊勢神宮参拝により政教分離原則は遵守擁護されることなく今に至っていることを深く憂慮しています。1955年の鳩山一郎首相による年頭の伊勢神宮参拝に始まり、1965年の佐藤栄作首相の年頭の伊勢神宮参拝以降は、ほぼ毎年内閣総理大臣による年頭の伊勢神宮参拝は慣例化されております。伊勢神宮は「天照大神」を祭った宗教施設です。神社の大半が加盟する神社本庁でも「本宗」という位置に置かれている日本の神社神道を代表する宗教施設です。ことに伊勢神宮は戦前戦中において靖国神社と並んで国民の思想統制の中核的役割を果たした神社であります。そのような神社神道の宗教施設に、歴代の首相が年頭に参拝する事を慣例化させていたということは、今までの自民党を中心とする与党政権が、神社神道と国家との結びつきを強め、戦前・戦中のような国民の思想信条統制を復古させようとしていたことを伺わせるものです。

しかしながら今年の1月4日においても内閣総理大臣である鳩山由紀夫氏の伊勢神宮参拝が行われたことは非常に残念なことです。玉串料を公費からではなく私費から支払ったとしても、中井国家公安委員長、仙谷行政刷新担当相、松野内閣官房副長官、民主党の高橋千秋三重県連代表を伴い参拝したということは、公人として参拝したという性格を明らかにしています。この日本国憲法尊重擁護義務に違反された鳩山由紀夫首相の行動に抗議を致します。

昨年誕生した新政権によって、自民党を中心とする元政権の悪しき慣例が正され、憲法20条においても日本国憲法を遵守した政治が行われる事を切に期待するものです。内閣総理大臣と言うお立場での神社参拝等の宗教行為から今後一切決別されることを心よりお願い申し上げます。


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