首相の年頭の伊勢神宮参拝に抗議します

内閣総理大臣 菅直人殿

私ども日本長老教会社会委員会は、菅直人首相が年初(1月4日)に伊勢神宮参拝を行ったことに抗議致します。

日本国憲法20条の政教分離原則は、戦前戦中に政府が記紀神話に基づく神の国信仰を一律に強制し、国内外の人々の信 教の自由を侵害した苦汁の歴史から学び取った尊い財産です。しかし日本国憲法制定後も、歴代の首相による年頭の伊勢神宮参拝によって政教分離原則は遵守さ れることなく今に至っています。伊勢神宮は神社本庁でも「本宗」という位置に置かれている日本の神社神道を代表する宗教施設であり、ことに伊勢神宮は戦前 戦中において靖国神社と並んで国民の思想統制の中核的役割を果たした神社でありながら、自民党政権の時代からほぼ毎年内閣総理大臣による年頭の伊勢神宮参 拝は慣例化され、それは政権交代後の民主党鳩山政権においても変わることがありませんでした。

私どもは菅内閣が2010年8月15日に靖国神社参拝を行わなかったことを評価をしつつも、不参拝の理由がアジア諸 国との関係の重視にのみ留まり、政教分離原則を守るという観点が欠落していたことに大変危惧を覚えております。菅直人氏は民主党が野党だった時代の 2003年1月4日に、年頭の伊勢神宮参拝を行った理由として「政権交代を睨んで、首相となる準備に備えて伊勢神宮を参拝した」と発言しました。それは日 本国の首相となる以上には記紀神話に基づく神の国日本という理解に立たなければならないという、政教分離原則に明白に反する発言であり、首相としての立場 にもと悖るものであることを私どもは深く憂慮しています。

私どもは内閣によって日本国憲法を遵守した政治が行われ、マイノリティーに至るまで国民の思想信条の自由が守られる ことを切に願っています。また菅内閣によって、歴代の政権の悪しき慣例が正され、日本国憲法99条に則り、憲法を遵守した政治が行われることを切に期待し ています。内閣総理大臣というお立場での神社参拝等の宗教行為から今後一切決別されることを切にお願い申し上げます。

2011年1月6日
日本長老教会社会委員会
委員長 星出卓也



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