野田首相及び閣僚は靖国神社参拝をしないでください

内閣総理大臣 野田佳彦殿

私共、日本長老教会社会委員会は民主党政権の首相及び閣僚が年頭における伊勢神宮参拝を行ってきたこと対しては一貫して抗議をしつつも、靖国神社参拝を行わないできたことにおいては少なからずの評価を致しておりました。戦前戦時下において靖国神社は戦死者を英霊として参拝することによって侵略戦争を美化・正当化し、国民を積極的に侵略戦争に動員する役割を担ってきました。戦後は国家護持は廃止され、一宗教法人としての地位になりながらも、戦後も同神社の教義は一貫して変わることなく、国家による戦争の戦没者を神として祀り、戦争の性質いかんにかかわらず国家による戦争に殉国する行為を無条件に美化するという役割を担っています。このような神社に首相及び閣僚が参拝を行うということは、政府も同様の戦争美化の思想を推進しているということになり、そのような認識は歴史の反省に立たない国民への背信行為であり、到底見過ごすことのできないものです。

また靖国神社に限らず、神社参拝という宗教行事に加わることに良心の痛みを覚える国民がおります。私たちキリスト教徒もそうです。たとえ国民全体の比率から見て少数であったとしても、宗教を信じる自由とともに、特定の宗教を信じない自由も保証されなければなりません。戦前戦中において国家神道を信じない自由は許されず、国民は一律に天皇を神とする信仰を強要されました。このことは国民の思想弾圧という非常に暗い影を日本の歴史に刻みました。日本国憲法20条の政教分離原則は歴史における負の遺産の上に学び得た尊い宝であり、首相及び閣僚は日本国憲法の政教分離原則を遵守する義務があります。

今こそ小泉元首相をはじめとする過去の首相の過ちの轍を踏まず、公人であろうと私人であろうと靖国神社参拝から決然と身を引いて、日本国憲法を遵守していただきますようここに要請を致します。そして今後野田首相が憲法前文にうたわれている「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占める」努力に一層励んでいただくよう、心より願っております。

2012年7月31日
日本長老教会社会委員会
委員長 星出卓也



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