東京都知事の靖国神社参拝に抗議します

東京都知事 石原慎太郎殿

私たち日本長老教会社会委員会は、石原慎太郎東京都知事が8月15日に靖国神社参拝を行ったことに抗議いたします。

日本は戦前戦時下において天皇を現人神とする宗教政策を全国民に強要したという負の歴史を持っています。天皇を神として崇拝することは国民にとって当然の義務とされ、従わない自由は認められず、国民は天皇のために死ぬことを教え込まれました。その結果、日本は軍国主義の道を歩み破局を迎えました。伊勢神宮と靖国神社は、このような国家神道の強要に中核的な役割を果たした神社です。天皇の祖先である天照大神を祀った伊勢神宮を参拝させ、戦争で死んだ兵士を神として祀る靖国神社を参拝させることによって、両神社は天皇のため、国家のために死ぬことを美徳とする思想を全国民に普及する役割を果たしました。そのような神社に毎年参拝を行うことは、国家による国民への思想統制と軍国主義化の悲惨な歴史から学ぼうとしない行為です。

日本国憲法20条3項の政教分離原則は、この国家による思想統制という負の歴史から生み出された日本の宝です。靖国参拝を行うことは政教分離原則を踏みにじることです。靖国神社は宗教団体であり、東京都の認証を受け、宗教法人靖国神社として神社神道としての宗教活動を行っています。都政の責任者である知事が、特定の宗教団体・宗教法人靖国神社に参拝を繰り返すことは、靖国神社にとっては「国及びその機関」(自治体を含む)から政治上の「特権」を受け続けることになり、東京都知事は靖国神社に「特権」を与え続けることになり、共に憲法第20条の信教の自由・政教分離を尊重する目的から成立した宗教法人法の精神に反します。

東京都は、1100万人を超える巨大な人口を擁し、多くの在日外国人の方々も生活を営んでいます。アジアの方々も多く、それだけに国際的な視野に立って平和と共生を行政の要とすべきです。かつて侵略戦争の支柱とされた靖国神社に参拝を繰り返すことは、いまなお植民地支配や侵略戦争の過去を清算していない日本の現状を憂えている旧植民地出身者を始めとする在日外国人やアジアの国々からより厳しい批判を受けることは避けられません。東京都知事がそうした行為を繰り返すことに、私たちは強く抗議をします。

2012年8月15日
日本長老教会社会委員会
委員長 星出卓也



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