戦争のできる国にしようとする、集団的自衛権容認の解釈改憲に反対します。憲法を尊重し擁護する義務を果たしてください

内閣総理大臣 安倍晋三殿

 私たちはキリスト者として、内閣総理大臣として立てられた安倍晋三氏のため、日本国憲法を尊重し擁護する視点に立って、憲法の大事な原則である平和主義に基づく政治と外交をしてくださることを期待し、そのために神の守護と祝福がありますよう心からお祈りしています。それにもかかわらず、このように安倍政権の施政と外交方針に異議を申し立てずにおれないのは、その施政と外交方針が憲法の大事な原則である平和主義に違反し、それを踏みにじるものと断じざるを得ないからです。
 昨年12月6日、安倍政権は国民の広い層からの圧倒的な反対を押し切り、参院の特別委員会で国会法を無視して憚らない手段に訴えて特定秘密保護法を成立させました。これで本当に成立したと言えるのでしょうか。私たちは神の目の前には成立していないものと思います。その後も、全国各地の地方議会で秘密保護法の廃止を求める決議が相次いで行われています。この秘密保護法の制定は戦争への備えに結びつくもので、憲法の平和主義に反することが明白です。特定秘密保護法は速やかに廃止されなければなりません。私たちは安倍首相への敬意を込めて、首相が特定秘密保護法の廃止を決断されるよう強く求めます。
 昨年12月26日に安倍首相が靖国神社に参拝したことについては、ただちに当日付けで抗議声明を出しました。このように私たちが敏感に反応したのは、安倍首相の参拝行動が、強行に特定秘密保護法の成立を図った動機と深く共鳴し合うものを感じ取っているからです。私たちは靖国神社の成立の由来とその後の経過から、靖国神社の本質が「戦争の神社」であることを見抜いています。そのことは、靖国神社に併設された軍事博物館と言ってよい「遊就館」を見学すれば一目でわかります。忘れてならないのは、現在の靖国神社が一宗教法人であることです。その靖国神社に国家公務員が、ましてその長たる内閣総理大臣が参拝することは、憲法第20条に違反する行為です。白昼堂々と衆人環視の中で首相としての肩書きで参拝するのですから、私人の参拝であるという言い分けは全く通用しません。それでも首相が参拝を強行するのは、靖国神社を戦前の姿に戻したいからではないでしょうか。それもこれも首相が日本を戦争のできる国にしたいという思いから出ています。戦争をしたら戦死者が生まれます。その戦死者を戦前の姿に戻した靖国人神社に祀りたいのでしょう。そんな事態の出現を許してはなりません。首相には、かつての日本軍国主義が侵した侵略戦争の惨禍を直視し、憲法を尊重し擁護する立場から靖国神社参拝は自粛してください。
 靖国神社参拝を自粛することは、二度と戦争はしないと決意した憲法の「徹底した非暴力平和主義」による施政と外交戦略を展開することに通じます。憲法第9条は、侵略戦争は勿論、自衛戦争も放棄していますが、自衛権は放棄していないというのが政府見解でした。その自衛権には個別的自衛権と集団的自衛権がありますが、後者を認めることなど論外であり、認められるとしても個別的自衛権だけです。その個別的自衛権も行使することは断じてないというのが、これまでの政府見解であったのではないでしょうか。それなのに現在の安倍政権は、決して認められない戦争を前提とした集団的自衛権を第9条でも容認できるという超法規的な憲法解釈を、国会の審議も経ることなく、閣議で決定しようとしています。憲法改正が困難であるという状況を見据えて、第9条でも集団的自衛権を容認できるという解釈を専断することで実質的な改憲を果たそうとしているのです。そんな暴挙が許されるはずはありません。すみやかに断念してください。
首相には、憲法の基本原則に立ち返り、前文に謳われているように「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」ため、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な目的を達成することを」念願している、国民の先頭に立っていただきたいのです。
 
2014年4月29日
日本長老教会社会委員会
委員長 星出卓也


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