憲法総則

制定   1998年11月24日議決
名称改訂 2005年11月23日改正

第1章 基本原理

(神の民)

第1条 教会は、神がその栄光をあらわし、ご自身との交わりを喜び楽しむ聖徒として集められた神の民である。その教会は、天地創造以来、各時代に救いと真理の知識を受け伝えて永遠に至る。

WSC1、2スイス17:1、1テモテ2:4

(統一性)

第2条 教会の基礎は神の隠れた永遠の選びに置かれ、各時代の教会はその選びのあらわれである。それゆえに、キリスト以前の時代であれ、キリスト以後の時代であれ、教会は一つであり、同じ国民であり、神の家族である。

綱要4.1.2、エペソ2:19

(キリストの王国)

第3条 キリストは教会の唯一のかしらであり、教会はキリストのからだである。キリストは、みことばと聖礼典を教会に与え、聖霊の 働きを通して教会を治められる。キリストを礎石として、使徒と預言者という土台であるみことばの上に建て上げられる教会は、キリストの主権がすべての部分 におよぶところのキリストの王国である。

WCF25:6、綱要4.1.2、エペソ2:20、WCF25:2

(使命)

第4条 神は救いのご計画の全体を遂行するための主要な手段として教会をおこされた。教会は、人間の堕落によって損なわれた創造の 秩序を回復するため、また、罪からの救いの福音を宣教するため、そしてキリストにあって世をご自身と和解させる働きのために、終末へ向けての神のみわざの 完成をその使命とする。

使徒20:27、2コリント5:18

(統治)

第5条 神の民が存続し、その使命を遂行するため、すべてのことが適切に秩序をもって行われるように、神は教会にふさわしい統治を定められた。この統治は、キリストの主権、みことばと聖霊の支配、福音の教え、愛の律法に反するものであってはならない。

1コリント14:40

第2章 公同教会

(選び)

第6条 公同教会は永遠から神に選ばれた者の総体である。それは神のみによって完全に知られており、常に不変である。公同教会の究極的な基盤は主権者である神の隠れた予定にある。

WCF25:1、スコットランド16

(公同性)

第7条 公同教会は歴史の中に神の民としてあらわれ、見える教会となる。それは、すべての時代、国土、民族、文化を越えて普遍的なものである。それを構成する聖徒とその子らは、いつ、どこにおいても、御父、御子、御霊の神との交わりを恵まれる。

(聖さ)

第8条 この教会は、そのかしらであるキリストの聖さのゆえに「聖なる公同の教会」と呼ばれる。キリストのからだである聖徒も、聖 さにあずかり、それを地の塩、世の光としてあらわす。なお、教会はその未完成さのゆえに誤りは避けがたく、キリストのことばと、聖霊による聖めと真理に対 する信仰によって、常に改革されてゆく。

使徒信条、2テサロニケ2:13

(戦闘と勝利の教会)

第9条 この教会は、また戦闘の教会と勝利の教会によって成り立っている。戦闘の教会は地上に寄留する教会として、キリストの王国 の建設のため、この世とその諸権力、また罪と死に対して戦いつつある教会であり、勝利の教会は戦い抜いたすべての聖徒が、彼らの国籍のある天に凱旋して、 キリストの御前に喜び集う栄光の教会である。

2スイス17:3

(母なる教会)

第10条 この教会は聖徒にとって母である。聖徒は、神の召しに従ってこの母なる教会の中に産み出され、そのふところにはぐくまれ、その訓練を受けて成長する恵みにあずかる。唯一の神を父として持つ者は、この母なる教会を愛し、その一致と純潔のために努めなければならない。

ガラテア4:26、綱要4.1.1、エペソ5:25

第3章 地区教会

(公同教会との関係)

第11条 地区教会は特定の時代と地域における公同教会のあらわれであり、その使命を達成するために神に召された聖徒の群れである。いずれの地区教会も、公同教会と同一の基盤に立つ限り等しく公同教会を代表する。

(聖徒の交わり)

第12条 地区教会は、一つの主、一つの信仰、一つの洗礼によって結び合われた「聖徒の交わり」であり、恵み、苦難、死、復活、栄 光においてキリストと交わり、愛において互いに結ばれて相互の賜物と恵みを分かち合う。また、聖書にかなう聖い礼拝と敬虔な生活と真理の研鑽、並びに伝道 と立証のため、信仰を告白した者がその子らと共に相結ぶ自発的団体である。

エペソ4:5、WCF26:1、政基各則3

(教会のしるし)

第13条 地区教会は、神のことばを真摯に宣教すること、並びに聖礼典(洗礼と聖餐)を神のことばに従って執行することの二つのし るしによってキリストの教会として見分けられる。また、教会にとって不可欠なこの二つのしるしは、常に厳正に保持されるべきものであり、教会間の交わりと 一致を可能にする基盤である。

アウグスブルグ7

(教会訓練)

第14条 さらに地区教会は、キリストの教えに従って、教会訓練を行う。教会訓練は、教会の秩序を保つために、信仰者とその子らをキリストのからだにふさわしい者とする教育と、それにふさわしくない者を矯正する戒規とによって、教会の徳を建てるものである。

スコットランド18、マタイ18:15-18

(キリストの花嫁)

第15条 このようにして、地区教会は「生ける石として、霊の家に築き上げられ」、キリストの花嫁として、「しみや、しわや、そのようなものの何一つない、聖く傷のないものとなった栄光の教会」となる日を仰ぎ望む。

1ペテロ2:5、エペソ5:27

第4章 日本長老教会

(日本長老教会)

第16条 日本長老教会は、公同教会のあらわれの一つとして、1993年5月3日に設立された。旧新約聖書に基づき、ウエストミン スター信仰告白及び大小教理問答(以下「ウエストミンスター信仰基準」という。に準じて、改革主義信仰、独立自治、長老政治の三原則により、イエス・キリ ストの福音を立証し、宣教する。

政基各則1

(改革主義信仰)

第17条 改革主義信仰は、「ただ聖書のみ」の原理に厳正に立つものであり、ウエストミンスター信仰基準は、その歴史的正統的信仰を的確に組織体系化したものである。

(独立自治)

第18条 独立自治とは、日本長老教会の教会員によって、政治的、経済的に自主自営することである。この原則に立って国内外の諸教会との協力関係を進める。

(長老政治)

第19条 長老政治は、旧新約聖書を通じて示された政治形態であり、神の民の中から召され選ばれた教師と長老が代表として責任をもって教会を統治する。

(立証と宣教)

第20条 イエス・キリストの福音の立証と宣教とは、福音が命じる信仰と生活を純粋に、また聖潔に立証し、教理と実践の両面において積極的に宣べ伝えてゆくことである。

第5章 教会政治

(キリストの主権)

第21条 教会の最高の主権者であるキリストは、そのからだである教会をみことばと聖霊の働きを通して霊的に支配する。教理、政治、訓練、礼拝、宣教、奉仕など教会のあらゆる働きにおいて、キリストの主権は認められなければならない。

(教会政治)

第22条 キリストは、聖徒を整えて奉仕の働きをさせ、キリストのからだを建て上げるのにふさわしい統治を教会に定め、これにご自 身の権能をゆだねることをよしとされた。このような教会統治の秩序を教会政治と言う。教会政治は、教会、教会員、教会役員及び長老政治、そして教会会議と いう形態をもって執行される。

エペソ4:12

(教会・教会員・教会役員)

第23条 地区教会は神の民として信徒総会において、牧師、長老、執事の教会役員を選出し、教会役員はキリストからゆだねられた領域において教会政治を執行する。教会員は責任ある行動と祈りをもって教会政治を支える。

政基各則30,49,57

(長老政治)

第24条 教会政治のかなめはキリストがみことばと統治の務めをするために教会に定められた長老職にあり、教師と長老とが共同して これにあたる。教師はみことばの宣教、聖礼典の執行、福音の弁証などの務めを行う教職長老であり、また長老は教会員に選ばれた信徒長老である。この二重の 長老職の理念に基づく教会政治を長老政治と呼ぶ。

綱要4.1.1、綱要4.11.1、綱要4.11.6

(教会会議)

第25条 長老政治の特徴の一つは、小会、中会、大会と積み重ねられる教会会議において教会の全体的統治と見える一致を目指すところにある。教会会議の議員である教師と長老は平等の資格を有する。

WCF31:2

第6章 教会員

(恵みの契約)

第26条 神が主権者として教会と結ばれた恵みの契約に基づき、信仰を告白して洗礼を受けた者及びその子らが教会員である。教会員は聖書にかなう聖い礼拝と敬虔な生活と真理の研鑽、並びに伝道と立証に努める。

政基各則3

(陪餐会員)

第27条 陪餐会員は、信仰を告白し、洗礼を受けて神との契約に加わった者及び幼児洗礼を受けて信仰告白を行った者を言い、いずれも聖餐にあずかる者である。陪餐会員は信徒総会を構成するなどして教会を支え、またそれに服する。

PCUS7:29、政基各則98

(未陪餐会員)

第28条 陪餐会員の子らは契約の子であり、幼児洗礼を受けて教会員となる。陪餐会員一同は彼らを「主の教育と訓戒によって育て」、また彼らを教会の訓練にゆだねる。この子らは信仰告白によって陪餐会員となり、教会政治に参与するまでは、未陪餐会員として登録される。

PCUS7:27、エペソ6:4

(権利と義務)

第29条 教会員はキリストのからだである教会に結び合わされ、その恵、苦難、死、復活、栄光において、かしらであるキリストと交わりを持つ。教会員は、教会に与えられた神の祝福と賜物にあずかる権利を有し、また教会を建て上げるために教会政治への参与などの義務を尽くす。

WCF26:1

第7章 教師

(教師)

第30条 教師は、みことばの主であるキリストによって召され、按手をもって職に任ぜられた教職長老としてキリストに責任を負いつ つみことばの務め全般にあたる。その務めは聖書において、監督、管理、教え、奉仕、訓練、弁証、宣教などと表現されているように多様である。それゆえ、教 師のうちには牧師のほか、特に宣教師として海外宣教にたずさわる者、および神学教師として本教会が認定する神学校において神学教育に専任する者などがあ る。

式文

(牧師)

第31条 個々の聖徒の群れにつかわされて、みことばの務めを行う教師が牧師と呼ばれる。牧師は、みことばの宣教、聖礼典の執行、 教会訓練の励行など牧会の務めをもって教会を導く責任と光栄を有し、真の大牧者であるキリストにならって長老と共に忠実に群れを養い、教え、祈り、とりな しを行う。

(鍵の権能)

第32条 教師はキリストが教会にゆだねられた鍵の権能をみことばの務めを通して行使する。この権能は決して教師自身に由来するも のではなく、みことばに基づくものであり、その行使にあたっては、人の救いと教会の霊的健全さを左右するものとして厳粛になされるべきである。それゆえ、 祭司や預言者また使徒の務めに見るように、みことばへの服従会に対する愛、教会の建徳を願う熱心さをもって行使される。

マタイ16:19、綱要4.1.22

(みことばと聖霊)

第33条 神は、教師によるみことばの外的な務めを有効なものとするために、聖霊の働きを教会に与えられた。聖霊はみことばの主であるキリストの御霊であるので、みことばの外的な務めと聖霊の内的な働きは教会において相互に補い合い調和される。

2スイス18:2

(教師候補者及び教師試補)

第34条 教師候補者及び教師試補は、教師の職を志願する者として、みことばの宣教を許される者である。その務めは、みことばの宣教における責任と光栄において教師の務めに準ずる。

式文

第8章 長老

(長老)

第35条 長老は牧師と共同して長老職にあたる。長老は地区教会において聖徒の群れの指導者として選ばれ、按手をもって信徒長老の職に任ぜられる。長老はおもな務めとして、牧師と共に教会を治め、教会訓練を行い、教会会議を構成する。

(長老の責任)

第36条 長老は牧師と共に教会のかしらであるキリストに責任を負いつつ、みずからを選んだ群れ全体に対して責任を負う。「よく指導の任にあたっている長老」は群れの中で尊敬を受けるに値する。

1テモテ5:17

(長老の資質)

第37条 群れの指導者としての長老は、その信仰生活において、みずからの群れの模範となるのみならず、群れの霊的成長と健全さのため、祈り、奉仕、学習、宣教、集会に率先して励み、教会訓練を行うにたる信仰者としての賜物を有する者である。

(戒規の務め)

第38条 教会員が教理あるいは実践において罪を犯したことが明らかになった場合に行われる教会訓練、すなわち戒規にあたっては、 長老は牧師と共に鍵の権能を行使する。これは長老の厳粛な務めであり、戒規に付された教会員の霊的回復と矯正を目指し、祈りと愛の配慮によって執行され る。但し、キリストの名誉と教会の純潔を守るために、その執行はあくまでも厳正でなければならない。

マタイ18:15-18

第9章 執事

(執事)

第39条 執事は、牧師、長老とは別に新約の教会におこされた務めであり、主イエス・キリストの愛とあわれみの模範にならって慈善の奉仕にあたるために地区教会において選ばれ、その職に任ぜられる。

政基各則57、PCUS11:44

(執事の働き)

第40条 執事は小会から付託された権限において、助けを必要とする者のための活動をはじめとして、聖徒の交わりを維持促進する奉仕について責任をもってそのわざにあたる。

政基各則62

(愛と奉仕)

第41条 執事はその資質として「深い同情心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着け」た愛の人であることが要求される。なお罪からの救いの福音は、隣人と社会への愛と奉仕をもたらすものであるため、教会は執事職を通じて教会の外にも働きかける。

コロサイ3:12

第10章 教会と世界

(教会の霊的統治)

第42条 教会は、「わたしの国はこの世のものではありません」と宣明されたキリストが、みことばと聖霊によって支配されるところ として、世俗とは本質を異にする霊的統治を行う。すなわち、教会はキリストの王国として、この原則にのっとり、みことばの務めと教会訓練の執行をキリスト の福音と愛の教えによって行う。

ヨハネ18:36

(世界に向けての使命)

第43条 教会は、巡礼者、寄留者としてこの世界にありながら、堕落によって損なわれた世界を創造の秩序に回復する使命を果たして ゆく。まず創造主である神と罪の支配する世界から贖い出された者との交わりの秩序が教会において回復される。さらに、神が制定された男女、家庭、社会など 人と人との間の秩序を回復するために生活の全領域にわたってかかわりを持つ。そして教会は、そのため、牧会、教育、宣教、奉仕にあたる者を派遣して神がキ リストにあって世界をご自身と和解させる働きに積極的にあずかる。

2コリント5:18

(教会と国家)

第44条 教会と国家権力との関係は長い歴史を通じて重要な問題である。教会は「神によって立てられたもの」としての「上に立つ権 威」に従い、「カイザルのものはカイザルに」返すことによって、その信仰的態度を明らかにする。しかし、国家権力が神の教会の統治の根本を危うくする場合 には、「人に従うより、神に従うべき」であるとして、権力への抵抗の権利を留保する。その場合においても、教会は「ポンテオ・ピラトのもとに」真理を立証 して、苦しみを受けられたキリストの模範に従う。

ローマ13:1、マタイ22:21、使徒5:29、使徒信条、1テモテ6:13

(キリストの主権的統治と教会)

第45条 十字架の福音は「ユダヤ人にとってはつまずき、異邦人にとっては愚か」であるが、教会はこの福音こそ「神の力、神の知 恵」であることを実証してゆく。しかも、「神はいっさいのものをキリストの足の下に従わせ、いっさいのものの上に立つかしらであるキリストを、教会にお与 えになりました」と言われているように、この世の終わりまで教会は世界のただ中にあって、すでに勝利を収めた復活のキリストの天と地にわたる主権的統治に 参与しえている。

1コリント1:23、1コリント1:24、エペソ1:22

(終末と教会)

第46条 教会は終末の時代を歩むキリストの花嫁として世界の終わりまで存続する。キリストは世界をさばかれる日に、「ご自身で、しみや、しわや、そのようなものの何一つない、聖く傷のないものとなった栄光の教会を、ご自分の前に立たせる」との約束を果たしたもう。

エペソ5:27

「どうか、私たちのうちに働く力によって、私達の願うところ、思うところのすべを越えて豊かに施すことのできる方に、教会により、またまたキリスト・イエスにより、栄光が、世々にわたって、とこしえまでありますように。アーメン。」<エペソ3:20-21>

附則

(施行期日)

1 この政治基準は、大会の決議による中会再編成実施の日から施行する。(1999年5月3日)

[用語例:総則・各則・細則共通]

略語表
WSC ウエストミンスター小教理問答 (1648)
2スイス 第二スイス信仰告白 (1566)
綱要 カルヴァン「キリスト教綱要」 (1559)
WCF ウエストミンスター信仰告白 (1648)
スコットランド スコットランド信仰告白 (1560)
政基各則 日本長老教会政治基準各則 (1998)
アウグスブルグ アウグスブルグ信仰告白 (1530)
PCUS The Book of Church Prder of the Presbyterian of Church in the United State, Part 1. Form of Government (1948)
式文 日本基督長老教会 式文



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