教師養成規準

A. 日本長老教会(以下「本教会」という。)教師を志す者は、神学修士(Master of Divinity)課程、または同等の教育課程を設置している神学校において訓練を受けることが望ましい。
B. 本教会教師を志す者は、以下の内容を基準として学び、小会及び中会は十分な学びのために配慮する。

聖書

Ⅰ. 聖書の内容
目標

日本語聖書の内容についての十分な理解と、それを伝える能力を身につける。

内容

A 日本語聖書の研究
1日本語で聖書全体を読み通す。
2学科には、考古学、歴史、地理などの分野が含まれていること。その際、特に、これらが聖書の文法的・歴史的解釈にどのように関わっているかを示す。
B 聖書の内容に関して総合的な試験がなされる。

Ⅱ. 聖書の言語
目標

説教や聖書研究会の準備のために、辞典や文法書などを用いて、原語に基づく聖書の釈義ができるようになる。

内容

A ヘブル語
1文法上の語形
2統辞論(シンタクス)の原則
3釈義の手順
4ヘブル語聖書の講読
B ギリシャ語
1文法上の語形
2統辞論(シンタクス)の原則
3釈義の手順
4ギリシャ語聖書の講読

Ⅲ. 解釈学(解釈の原理と方法)
目標

神のみことばを解釈することにかかわる原則、手順、問題などについて理解するとともに、聖書に沿った講解をする力を養う。 聖書を、有機的な統一性と歴史的な多様性を考慮しながら、神の意図に沿って読むことができるようになる。聖書に見られるキリスト中心性、契約、神の国は、 聖書全体の理解においても個々のテキストの理解においても決定的な意味をもっている。聖書は、贖いの御業と神のみことばを漸進的に開示する歴史である。そ の歴史は、新しい時代すなわち終わりの時代を導入するキリストとキリストの御国の到来において頂点に達する。
キリストはご自身の死とよみがえりと、ペンテコステの日にご自身の御霊を教会にお遣わしになることを通して、これを成し遂げられた。聖書はまた、終わりの 日のキリストの再臨とともに、いまだ完成していない新しい契約の御国が充満な神の栄光のうちに現れるという、祝福にみちた望みを提示している。

内容

A 解釈の原理
B 聖書神学
C 聖書批評学(高層批評と本文批評)の歴史と諸問題
D 解釈上の諸問題
1旧約聖書
2新約聖書

Ⅳ. 牧会の働きにおいて聖書を用いること
目標

原語の注意深い研究から始まり、解釈の過程を通って、テキストの意味の明快な講解と今日の教会への適用に至ることによって、神の民を建て上げるために、聖書を忠実に説明することができるようになる。

内容

A 旧約聖書と新約聖書の指定された個所について、より高度な釈義の論文を書くこと。
B 説教と聖書研究の準備のために、解釈の能力と手段を用いること。
C 伝道、リーダーシップ、弟子訓練、聖書的なカウンセリング、弁証学などの分野において、聖書を用いることができるようになること。

教理

Ⅰ. 教会史
目標

歴史の流れ、キリスト教教理の歴史的発展と一般史および哲学がそれに与えた影響、教会そのものの進展を理解する。また、教会の歴史と文化のコンテキストのかかわりにも留意する。

内容

A 新約聖書の時代から、全時代にわたる教会の歴史を学ぶ。特に、世界的視野における改革主義教会の遺産と特異性に強調を置くものとする。
B 日本基督教史
C 日本長老教会の歴史

Ⅱ. 弁証学
目標

改革主義の視点に立って、キリスト教信仰の積極的提示のための堅固な知的基盤を得ること。また、今日、多様な形態をもって現れ来ている反キリスト教的な思想体系および非キリスト教的諸宗教に対処できるものとなる。

内容

A 弁証にかかわる方法論および実践への序論。改革主義の弁証学における諸見解の概説を含む。
B 非キリスト教の思想の概説。これには、人文主義的な思想の歴史およびその現代的な表現となる様々な世界観や知的かつ美学的な分野ー哲学、文学、劇、芸術、 科学的方法論ーとともに、キリスト教以外の諸宗教およびカルトを含む。特に、日本の社会習慣、思想、福音理解にかかわる文化や罪理解の問題などをも扱う。
C 現代神学の概説。これには、オールド・リベラリズム、ネオ・オーソドキシィ、世俗的キリスト教、ポスト・モダンの神学を含む。

Ⅲ. 神学と倫理
目標

改革主義神学の知識を得るとともにその信仰を生きるものとなる。これには、聖書の無謬聖、神の主権、契約神学、カルヴィニ ズムの5原則などの特徴ある教理を含む。また、この信仰を伝えることにおいて鍛錬されたものとなる。個人および社会倫理の双方において聖書的なライフスタ イルへの理解を示しかつ実践するものとなる。

内容

A 組織神学:聖書に掲示された教理の全体系を真理の一つの統一体として学ぶ。それは、あらゆる神学諸分野にとって基礎となるものである。教会のあらゆる立証と働きを通して為されるみことばの宣教において教理が中心的な重要性を持つことを強調する。各論は次のものを含む。
序論
神論
人間論
キリスト論
救済論
教会論
終末論
また、日本長老教会の教理基準であるウェストミンスター信仰告白および教理問答の研究を含む。
B 倫理:神のみことばのうちに提示されているキリスト者としての生活様式について、その目的、動機、基準を学ぶ。これには、2大命令、十戒、山上の垂訓などを含む。

Ⅳ. 政治
目標

教会の特徴と構造に関して聖書の教えを理解するとともに、日本長老教会の政治に関して実際に活用出来る知識を身に付ける。

内容

A 聖書的教会統治:長老政治の原理と実際に関して聖書的基盤の研究。
B 日本長老教会憲法および教会政治の諸規定。

実践神学

Ⅰ. 牧会者の私生活
目標

みことばの研究と祈祷を通して、神との個人的関係を豊かにする方法を知る。また、自らの家族、信仰の家族、そして信仰の家 族以外の人々との間に信仰者としての関係を育て維持することにより、神への献身を明らかにしていくことを学ぶ。これらを通して、福音宣教への召命の意識が 真実であることを確定して行く際の導きを得る。

内容

A 霊的生活
1敬虔における成長
2みことばの宣教への召命
B コミュニケーションと個人的な関係
1家族との間で
2教会との間で
3社会との間で

Ⅱ. 礼拝論
目標

公的な礼拝に関する規制的な原理と、実際のプログラムへの適用、また、聖書的な公的礼拝における説教の中心性を理解する。みことばの説教と礼拝を導くことにおいて習熟する。

内容

A 公的礼拝に関する聖書的な原則:神を公に礼拝する時に注意すべき、礼拝指針を含む、聖書的な基準とその適用。
B 神のみことばの説教
1説教に関する神学
2キリスト中心の改革主義的説教の原理と訓練
C 聖礼典

Ⅲ. 伝道論
目標

大宣教命令に基づく伝道の必要性の自覚を深め、改革主義信仰による伝道論を学ぶ。キリストの福音を他の人々に伝える諸方法を身につけ、自ら実践し、他の人々を訓練できるようになる。

内容

A 伝道の必要性と緊急性
B 改革主義伝道論
C 伝道の実践と訓練における牧師の役割

Ⅳ. 宣教論
目標

国の内外において開拓伝道および教会形成を行う場合に生じる問題や方法論を学ぶ。その中には、言語学、教会自立論、人類学の活用、諸メディアの使用、政治的・社会的な改革と宣教の関係、などの領域が含まれる。

内容

A 改革主義宣教論
B 同一文化内および異文化間の宣教戦略

Ⅴ. 牧会学
目標

神の民を牧する時に従うべき聖書的な原則を理解し、カウンセリングのケーススタディの利用またはカウンセリングの実際の観察あるいは参加を通して、カウンセリングの実際的な経験を積む。

内容

A 牧会的なケアーとカウンセリングの神学
B 牧会カウンセリングの実践

Ⅵ. キリスト教教育
目標

キリスト教教育の聖書的な根拠およびその歴史上の展開を学ぶ。家庭や教会でのキリストの教育計画の開発、教会関係の働きにおける聖書を教える教師の訓練、および教会内の霊的な賜物を見分け、育てる能力を備える。

内容

A キリスト教教育の神学
B キリスト教教育の歴史
C キリスト教教育の実際

Ⅶ. 牧会的なリーダーシップと管理・運営
目標

リーダーシップと管理・運営に関する聖書的な原理を学ぶ。それは、計画や評価、戦略、管理、時間の管理、権威の委譲、責任、キリストのからだである教会の中での霊的な賜物を活用すること、などに関することである。

内容

A リーダーシップと管理・運営の神学
B リーダーシップと管理・運営の実際

第11回大会制定(2002年11月22日)
第13回大会改正(2004年11月23日)



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