「日米新ガイドライン・周辺事態法」に関する声明

 日本長老教会は、先の第6回大会で「ウェストミンスター信仰告白」に基づく聖書の戦争観を確認し、同時に、その後も歴史の中に働き続けて おられる「平和の神」(ロマ15:33)の恵みとして、日本国憲法の専守防衛・平和主義を受け止めるとの「公式見解」を決議した。この「公式見解」の立場 から考えるとき、目下進行中の「日米新ガイドラインと周辺事態法」の成りゆきは誠に憂慮すべき路線であると思われる。
それは、米軍の軍事活動に自衛隊のみならず地方自治体・民間の諸組織・諸団体などを積極的に動員するものであり、まさに戦時下の社会状況を再現しようと するものに他ならない。しかし、1930-40年代と20世紀末の今日の世界では、類似点もあるが相違点も大きく、とくに核兵器さえ使用された悲惨な大戦 後の世界は、」徹底した対話・説得の文民外交による国際協調の保持という点では学習を積んできたといえる。
「日米新ガイドラインと周辺事態法」が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の中の武闘路線や中国・台湾の緊張関係に備えたものだとすると、これらの国際的 緊張こそ、より一層強力な対話・説得の文民路線による以外に真の解決がないことは明らかである。国際的孤立から全面戦争へと走ったかつての日本の軍事路線 の愚を、北朝鮮などに繰り返させぬためにも、より充実した対話・説得の多角的国際的場の設定がなによりも真剣に探求されねばならないものと思われる。まさ に今こそ「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久 にこれを放棄する」とした日本国憲法の対話・説得の非軍事路線を生かしていくべき時なのである。
私どもは、この新しい「戦争マニュアル」とそれを支える戦時「国家総動員法」と酷似した有事立法大系を準備する軍事路線に反対し、今こそ「隔ての壁を打 ちこわし」(エペソ2:14)てくださるキリストにしっかりとより頼んで、対話・説得の非軍事路線をこそ推進すべきことを提唱する。

主の1998年11月23日

日本長老教会大会 第七回大会会議



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